チェロ様専用、ふっくらとしたメロン、ローマン５つと２１こ、薄緑に赤

本品は、古代から愛好されたメロン（蜜柑）型のファイアンス・ビーズで、適度の切り込み14本が施され、切り込みの間の房はふっくらとしています。前2～後2世紀、ローマン期ころの制作と、入手時に説明を受けました。　本品の色は、ファイアンスの典型的な色である青や青緑色で、他のファイアンスの淡い青緑色よりも濃い青色です。本品の片側には、茶の部分が見られますが、青の地にパティーナがついたためです。例えば、メロン（蜜柑）型で膨らんだ房部分には、茶の下に濃い青が見られます。地中にあったときに、ファイアンス周囲に金属などが存在すると、こうした現象が生じます。　ファイアンスは、メソポタミアでは前4000年ころから、エジプトでは前3700年頃にラピス・ラズリーに代わる青の護符ビーズとして出現し、初期のファイアンスは青か緑、その中間色でした。前15～前14世紀ころのエジプト・アマルナ時代には、奇麗な青に加え、光沢のある多色ファイアンスが制作され、襟飾りなどに用いられました。ファイアンスは、ローマ期にも広く用いられましたが、徐々にガラス・ビーズに人気を奪われました。こうした説明は、本品をローマン期のファイアンスとの指摘に合致します。　ファイアンスは、シリカ（珪砂）の細かな砂でできた生地に釉薬をかけ、ガラス制作時の1200度以上より低い、800～1000度で焼いて製造します。　エジプトでは、前17～前16世紀ころに、大きなメロン型ファイアンスが作られ、上エジプトのヌビア地域で人気を得ました。自然界のメロンを模したメロン型は、実際の果実を表示したのでなく、「再生と若返りの力」のシンボルとされ、人気を集めました。　ファイアンスの主要な制作地は、エジプト、エーゲ海地域、イラン、インダス平原です。イランのそれも、古い歴史を有し、アケメネス期やパルティア期に製造されました。イランのファイアンスは、青、緑、ブラウン、黄と白で、釉薬もエジプトのファイアンスと異なり、薄くて、鮮やかではなく、つや消し仕上げとされます。本品は、少なくとも釉薬の厚いエジプトのファイアンスとは異なります。　ガラス・ビーズの前身、エジプトとイランのファイアンスの相違などを知りたくさせる、2000年前後の時を経たビーズです。サイズ　　高さ　約10㍉　幅　約12㍉　孔径　約3.8㍉と約3.6㍉

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